匂いの正体

 

 

匂いの記憶ってすごいと思う。

 

自分の中に故郷の匂いというのがあって、

それは主に祖父母の家の匂いなんだけど、

おじいちゃんがつけるポマードとか、

おかゆみたいなごはんの香りだとか、

いろんな香りが混ざった独特の匂いだ。

それは生活の中で出てくる香りだと思っていて、

祖父母が亡くなったら、てっきりその匂いはなくなってしまうものだと

思っていた。

でも5年経っても、なんとなくその香りは残っていたから不思議に

思っていた。

 

最近その家をリフォームするので、色々

ひっぺがした空間に忍び込んだら、

ほとんど木の空間だった。

その匂いの正体がわかった。

木と土の香りだ。

 

山に登ったら、山の上の山小屋や祠に入るとある匂い。

私はずっとその香りに懐かしさを覚えていたのだということがわかった。

基本、木と漆喰でできていた家だから、木の香りが常に漂っていた。

それにずっと守られて暮らしてきた。

 

祖父母は長野出身で、庭にはコブシの花が植えられている。

雪国で一番真っ先に春を告げてくれるのは、コブシやモクレンの花

だということが、去年春先に富山に行ってわかった。

 

そうやってひとつひとつ、大好きだった人達の

ルーツを知っていくのは楽しい。