大麻と価値観の違和感について


私が麻薬を吸う現場に初めて遭遇したのは、
ドイツのグリーンピースjugend
の合宿でだった。
今から思えばあれは友好の証だったのだ。
私がもっとドイツ語をうまく話せていたら
友好の証をもっと表すことができたんだけどな。
グリーンピースJugendの
合宿で私は浮いていた。
日本人だし、なんせ日本人は鯨を食べるし、
それでも敵視されてるわけじゃなくてなんとなくみんなも恥ずかしがって話しかけてこない感じ。
ドイツ人はシャイでマジメでやさしい。
その中でドレスデンから来たゲイで日本のピチカート5が大好きな男の子と女の子のペアに話しかけてもらって、
生まれて初めて同志が
できたような気がした。
私はどうしてわざわざ
ドイツまで来たのかな。
この感じを味わうために来たのかな。
私は日本でひとりぼっちだと
思っていたのかな?
青春を楽しむには最適の高校だったのに。
父がいなくなった悲しみを共有できないのが多分嫌だったのだろう。
骨折や、病気ならみんな病院に
お見舞いに行くのに、
どうして精神病にはお見舞いがないんだろう。
どうして死んだことを学校や世間に内緒にしないといけないんだろう?
いじめられるから?
そんな社会は嫌だ。
心の病にかかったひとを
「いないこと」にしないでほしい。
確かにいたのに。
世界に参加していたのに。
病気になる前とは「少し」
違っているけどそれでも確かに
彼はそこにいたのだ。
どうしてみんなそんなに
楽しそうに笑えるの?
どうして東京電力のCMばかりが流れているテレビで
必死に流行を追いかけているの?
日本はどうして自然エネルギーを
伸ばそうとしないの?
ドイツとは何が違うの?
どうして悲しみを共有できずに、
損得ばかりを考えて、勉強しないといけないんだろう。
何かそのような感じだった
気がする。
ドレスデンから来た2人組に
誘われて、公園に行って、
ガラスの不思議な容器が出てきた。
しばらくするうちにそれは
麻薬の類のものだとわかってきて、
「交換留学生の規約で吸ったら日本に強制帰国になってしまうから」
と言って断った。そしたら公園で遊んでいた小学生位の子達が、
「あ!こいつら薬やってる!いけないんだ!いけないんだ!」
と騒ぎ始めて、あわてて合宿のホステルに戻ったら、
子どもたちが追いかけてきて、
「この中に薬をやってるやつがいたんだ」と告発しに来た。
私の方を見て
「お前は断っていた!えらい」
とか言っていた。
スタッフのひとに一体誰に
勧められたのか聞かれたけど、
友情にかけて誰かは言えなかった。
二回目に麻薬に関することに遭遇したのは
大学の先輩が卒業後、
佐渡で大麻を栽培して捕まったという話を聞いたときだった。
その先輩はニュージーランドに行った後に裸足に目覚め、
以後いついかなる時も裸足の生活を営む猛者で、菜食主義で、
大学の敷地を無断で耕して畑をつくっていた。
そのひとに会ったときに
自分はこういうおもしろいけど既存の社会の仕組みとはあいいれないひと達の魅力を伝えるひとになるのだろうなと思った。
何故なら私がそういうひと達に
魅力を感じるから。
そういう人達が生きやすい社会を
つくるために私はいるんだろうなとなんとなく感じた。
先輩は人殺しや盗みをした訳じゃないのに、捕まったことに違和感を覚えた。
本当に悪いことなのかな?
大麻を栽培するのは本当に悪いことなのかな?
そして今私のまわりには、
大麻を栽培したり、使用することは悪くない、と考える人が多い。
先輩は悪くないんだな、
と思って安心した。
少なくともそう思うひとが
存在することに安心した。
既存の社会の価値観に
侵されている部分、
違和感を感じる部分のアンテナを
より研ぎ澄ましていきたい。
そして自分が心地よいと感じる
活動を増やしていきたい。
「生きている」ことを感じられるような。